ハキダメ記

読んだ本の感想や自作詩など

「神の背中」

「神の背中」青い空が寝ころんで 緑の草が背のびする 夏もちかづく河川敷 くたびれた自転車に のる父と子がいた父は のんびりと はなうたをかなでながら 力強くペダルを ギイコギイコ 夏もちかづく河川敷 自転車をのそのそ すすませて父のうしろの男の子は …

「都営新宿線 荒川中川橋梁」

「都営新宿線 荒川中川橋梁」 生真面目な通勤電車が 今朝も あくびを満載して 荒川に架けられた鉄橋を 脇目もふらずに越えてゆく閉ざされた車窓に映るのは 雲がさすらう 底なしの空と 澱みが流れる 人工河川 わたしは 生真面目なあくび あなたは さすらいの…

「あなたのいない海」

「あなたのいない海」 あなたと別れて 自由にとまどう私 広すぎる自由の海の中で 漂うばかりの私は どこへ向かうのかもわからないあの白い白い家では あなたの満足気な顔が 私の向かう場所だったから でも そこに私はいなくて ただ あなたの顔ばかりが並んで…

「フタリ、ひとりぼっち」

ひとりぼっちになりたくなくて ひとりはふたりになるひとりぼっちのまま 抱きしめあう ひとりぼっちのふたりになるふたりはひとつ ひとりがふたつ ふたりのひとり通わない 2つの心 混じりあう 2つの肉体 求めあう 2つの空虚フタリ、ひとりぼっち ふたつの…

「私ワタシ私」

「私ワタシ私」ワタシというものを 与えてくれたのは 私の大好きな やさしいママママが好きなのはワタシ 私じゃない ママのお気に入りはワタシ 私じゃない私はワタシになるために 私というガラクタを うしろ手に隠して 十六年間 生きてきたワタシの手の中で …

「篠崎にて」

「篠崎*1にて」たとえば 律法(おきて)は この青い空のようなもので わたしたちを裁くものではないとしたのなら わたしは ゆるゆるゆるやかに流れゆく 江戸川の岸辺に繁茂する 名も知れぬ雑草となって 一点一画かわることのない 青い青い大きな空に向かって…

「木」

「木」 ああ! 早くあこがれの存在になりたい。現実のみにくい私から抜けだして、早く、早く、あこがれの私に、ならなくては。 愛しいあなたの言うように、正しいあなたの言うように、早くあこがれの存在にならなくては。あなたが私の手をひっぱり、導いてく…

「心の居場所」

「心の居場所」あの平穏な日々 衣食は足りて 居場所はなかった部屋は確かにあったのに 肉体(からだ)だけがくつろいで 心はアチコチさまよって やすらう場所を探していた夕餉のサンマをいただきながらも 心は外に飛び出して いつしか外に飛び出して やすら…

「関係」

「関係」いつもの白い朝 白いレースのテーブルには 「オハヨウ」はない あるのはスクランブルエッグ クロワッサンは切らしてるため息で満たされた胃袋 冷たいミルクはゴクリゴクリ 解剖学的な咀嚼音と リズミカルな食器の音が 無の存在を証明していく温かい…