ハキダメ記

読書録(主にキリスト教関連)

「マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家」野口雅弘著 を買った

【ザックリとしたマトメ♪】オモシロエピソード満載でありながらも、ウェーバーの思想が簡潔にまとめられている本。マックス・ウェーバー初心者に最初の一冊として強力プッシュしたい新書。

マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家」野口雅弘著 中公新書 2020年5月25日初版

なんでも今年(2020年)の6月14日は、マックス・ウェーバーの「没後100年」に当たるらしい。

 そしてウェーバーは、100年前の1920年に当時流行っていた「スペインかぜ」にかかって亡くなったという。

 なんだか100年前は「新型コロナウイルス(covid-19)」が流行っている今年に通ずるものがある。
 

 でもって、今回も前回の『マックス・ウェーバーを読む』に引き続き、ウェーバー物なのだ。

 前回取り上げた講談社現代新書の『マックス・ウェーバーを読む』は、ウェーバー主要書籍の「解説」といった内容であった。

 今回取り上げる中公新書の『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』は、主にウェーバーの生涯および彼の生きた時代に焦点を当てた新書である。

 本書の趣旨について、著者の野口氏は「あとがき」の冒頭で次のように述べている。

マックス・ウェーバーの没後一〇〇年に当たる二〇二〇年六月一四日の区切りを意識しながら、彼の「哲学的・政治的プロフィール」をなるべく簡潔に描こうとしてのが、本書である。新書という形式なので、比較的幅広い読者を想定して、ちょっとしたエピソードを挿入したり、基本用語の説明を少し多めにしたり、ウェーバーの重要文献についてのブックガイドを付けたりした。
「あとがき」(p.251)

 前回の『マックス・ウェーバーを読む』は、ウェーバー中級者以上を対象とした比較的難解な新書であった。

 今回の『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』は、ウェーバー初心者でも楽しみながら読み進められる新書である。

 著者が述べているように、本書のはしばしに「ちょっとしたエピソード」が挿入されており、それが楽しいのである。

 読み進めていけば、ウェーバーに関係する様々な人びと(たとえばハンナ・アーレントやエーリッヒ・フロム、フランツ・カフカなど)の小話が我々を楽しませてくれるであろう。
 ちなみに津田塾大学創設者の津田梅子は、ウェーバーと同い年らしい(本書p53参照)。

 本書を読んでいて、ウェーバーという人物を身近に感じられた箇所があった。
 それは、彼の学生時代を描いた章にある。

 ウェーバーは案外に「硬派」で、結構「バンカラ」な学生時代を送っていたようである。

これに対してウェーバーが所属していたのは、伝統的な学生組合だった。ウェーバーはそこで決闘をし、頬に傷を負った。ブルシェンシャフトでは、決闘による負傷は名誉なことだった。しかしすっかりビール太りし、顔に傷を付けて帰省したマックスをみて、母のヘレーネは平手打ちをしたと伝えられている。それにしてもウェーバーが飲むビールの量は尋常ではなかったといわれている。
「第二章 修学時代」(p.28)

 ブログ主は「硬派」でも「決闘好き」でもないが、ウェーバーと同じく無類の「お酒好き」なので、本書が教えてくれる「尋常じゃない量のビールを飲むウェーバーの姿」に親近感を覚えてしまうのである。

 あと、しっかりお母ちゃんに殴られているところも好感を持てる。

 本書は、このようなおもしろく、それでいて為になるようなエピソードが数多く載せられているので、ウェーバーに興味のある人なら、最初の一冊におすすめしたい本である。

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