「よりよき世界を求めて」第一章
「よりよき世界を求めて」(カール・R・ポパー著/小河原誠・蔭山泰之訳 未来社 1995年刊)
Auf der Suche nach einer besseren Welt by Karl R. Popper(1989年刊)
これから何回かに分けて、ポパーの「よりよき世界を求めて」の要約をしていきたいと思います。
この本は、第一部「知識について」、第二部「歴史について」、第三部「最近のものから」の三部構成、全16章から成っています。
- 作者: カール・R.ポパー,Karl R. Popper,小河原誠,蔭山泰之
- 出版社/メーカー: 未来社
- 発売日: 1995/12/01
- メディア: 単行本
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要約
第一章 知識と実在の形成−−よりよき世界を求めて
当該部分は、著作権法に触れる可能性があるため、削除しました。(2017.11.11)
感想
「真理」と「確実性」を鋭く区別することの必要性を述べているところが面白かった。
ポパーは、「真理を客観的なもの」、「確実性を主観的なもの」として区別している。これによれば、自分の視点から見る真理は、客観的な真理とは言えず、あくまで主観的なものにとどまる。
どうも私には「客観的真理」などあまりピンと来ず、ヒトそれぞれにそれぞれの真理があるといった「相対主義」の考え方の方がしっくりきてしまう。
しかしそれは「確実性」という「主観的な真実」のことを思い浮かべていたからだ。
また「客観的真理」というものを強調されると、「わたしの眼」から見えている「わたしの真理」が全否定されそうでイヤな感じもしてしまうのである。「客観」と「主観」が対立し合うもののような感じがするのである。
けれど、この書でポパーが述べているのは、「客観」と「主観」を《混同》せず、区別することの必要性であった。
「主観」は試行錯誤を繰り返しながら「客観的真理」を探求して行くものであって、「主観」と「客観」は対立するものではない。対立するのは「主観的」と「主観的」にすぎないということだ。
真理を探求する過程において大切なのは、「わたしの真理」を「客観的真理」または「絶対的真理」と思わない知的謙虚さ、自分の無知を自覚する知的謙虚さなのだろう。