ハキダメ記

読書録(主にキリスト教関連)

2021-01-01から1年間の記事一覧

「使徒的勧告 愛のよろこび」教皇フランシスコ著 を買った

【ザックリとしたまとめ】現代の「家庭」を取り扱ったカトリック教会の勧告。中でも特に印象的だったのが、「離婚」や「再婚」をした信者たちにも、教会は門戸を開き、彼らを受け入れなければならないという、本勧告の指針であった。使徒的勧告 愛のよろこび…

「回勅 ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」教皇フランシスコ著 を買った。

【ザックリとしたまとめ】昨今話題の「SDGs」に関連した回勅。本回勅の特徴は、持続可能な社会を達成するには、「意識改革」だけではなく、「人間性改革」も必要だとしている点にある。さらに本回勅は近代社会の(行き過ぎた)「消費主義」も批判している。…

「宗教と過激思想 現代の信仰と社会に何が起きているか」藤原聖子著 を買った

【ザックリとしたまとめ】本書は、イスラム教・キリスト教の過激派だけではなく、神道や仏教などにおける過激派も扱っている。取り上げる過激派の幅が広いだけでなく、本書は過激思想のルーツにまで遡って解説することによって、宗教過激派に関する理解を深…

「宗教と日本人 葬式仏教からスピリチュアル文化まで」岡本亮輔著 を買った

【ザックリとしたまとめ】本書は、宗教を信仰の視点だけでなく、実践と所属という新しい視点を加えて分析するものである。この新たな視点によって、よく葬式仏教と揶揄されがちな日本の仏教も十分に宗教であることが明らかにされている。 また、スピリチュア…

「キリスト教とシャーマニズム なぜ韓国にクリスチャンが多いのか」崔 吉城(チェ・キルソン)著 を買った

【ザックリとしたまとめ】韓国のキリスト教は一風かわっていて、その特徴は「シャーマニズムとの混合」にあるという。そして、この韓国人の「熱狂」的な信仰は、アメリカ生まれのキリスト教と馬が合っていたようである。今回の記事では、森本あんり氏の『反…

「回勅 人間のあがない主」教皇ヨハネ・パウロ二世著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】ヨハネ・パウロ二世最初の回勅。キリスト教にとっての「自由」とは、一般的解釈である「奔放」を意味しない。キリスト教の「自由」とは、キリストに近づく「自由」であり、それは「犠牲」と「奉仕」を伴うものである。また、キリス…

「神の恵みと人間 自然と恩恵についての小カテキスム」アンリ・ド・リュバック著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】「受肉の秘儀」によって、創造主と被造物の《完全な一致》が成就した。けれど、この《完全な一致》は、被造物が創造主によって強制されることではない。「神の業」によって成就した《完全な一致》は、強制ではなく、自由なる《変容…

「ドストエフスキー 二重性から単一性へ」ルネ・ジラール著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】ドストエフスキーは「自尊心」を克服していった作家である。そんな彼は《偶像崇拝》ともたたかった。「人間のつくりだしたもの」に《絶対性》を付与し、それを崇めるとき、それは《偶像崇拝》となる。そして、デカルト以来、私たち…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その10】「マッケイブ氏と崇高なる軽薄について」「スラム小説家とスラム街」

【ザックリとしたまとめ】1、厳粛だけがまじめなのではない。まじめに冗談をぶちのめすことだってある。そしてチェスタトンは言う、「思慮のない謹厳」こそが本当の不まじめ、本当の軽薄なのだ、と。2、民主主義は庶民に対する「敬意」を基盤とするものであ…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その9】「ある現代作家と家族制度について」

【ザックリとしたまとめ】チェスタトンは「ある現代作家」に批判されている「家族制度」を擁護するのだが、その擁護が一風変わっていて、家族は平和でもなく楽しくもなく一致もないからスバラシイものなのだという。「家族」という気心の合わない人たちがい…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その8】「異教とロウズ・ディキンソン氏」

【ザックリとしたまとめ】「異教」は合理的で理性的な宗教である。そんな異教における徳は「正義」と「節制」。この二つの徳は己の「理性」と「誇り」を拠り所とする徳である。「異教」と「キリスト教」の違いはココにあって、「キリスト教」は己を拠り所と…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その7】「サンダルと単純性について」

【ザックリとしたまとめ】ちまたに流行るのは「なにを食べたらいいか」とか「なにを着たらいいか」とか言ったことで人生をシンプルにしようとしている人たち。それにチェスタトンは反発する。キリスト教のシンプルさは「ただ神の国を求めること」の一点にあ…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その6】「ジョージ・ムア氏の移り気」

【ザックリとしたまとめ】今回は「九 ジョージ・ムア氏の移り気」のまとめ。ムア氏はアイルランド出身の作家で、カトリクがメッチャ嫌いらしい。で、本章でチェスタトンはムア氏を俎上にあげ、その「傲慢」を批判しているのであるが、チェスタトンによれば、…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その5】「ウェルズ氏と巨人」

【ザックリとしたまとめ】今回俎上にのせられているのは「タイムマシン」等でお馴染みのH・G・ウェルズ氏。本章では、まずキリスト教における「謙遜」が貪欲なものであることが述べられている。「謙遜」と「貪欲」、この二つのものは水と油のように合わなさ…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その4】「バーナード・ショー氏」

【ザックリとしたまとめ】バーナード・ショー氏は、確固たる信念を持っているが、その信念には「理想(神)」が欠けている。その理由は、彼が「理想(神)」を「抑圧」の原因と看做しているからだ。しかし、そんなショー氏も「超人」という彼独自の「理想」…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その3】「ラドヤード・キプリング氏と世界の矮小化について」

【ザックリとしたまとめ】キプリング氏が「軍国主義」にひきつけられたのは、軍人の「勇気」にではなく、軍隊の「規律」のため。騎士道が好きなチェスタトンはそこを批判する。また、キプリング氏の「愛国心」も、ただイギリスの「強さ」にホルホルしている…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その2】「否定的精神について」

【ザックリとしたまとめ】今回は第二章「否定的精神について」を取り上げる。現代社会の雰囲気は「悪の確かさ」と「善の曖昧さ」である。そんな現代の「道徳」とは「悪」の除去を意味しているのだが、チェスタトンはこれに反抗する。チェスタトンの「道徳」…

「異端者の群れ」G・K・チェスタトン著 はこんな本だった【その1】

【ザックリとしたまとめ】 今回からチェスタトンの『異端者の群れ』を取り上げるヨ よく聞くのは「宗教やっている人って偏屈よね」って言葉 けれど、チェスタトンは「実生活でいちばん偏屈なのは、ぜんぜん信念を持っていない人である」って言うの で、偏屈…

「目からウロコ キリスト者同士の人間関係」来住英俊著 を買った

【ザックリとしたマトメ】キリスト者同士の〈人間関係〉において、重要になってくるのは「識別と選択」である。そして、その際に役立つのが〈聖イグナチオ〉が考案した「霊動識別」だ。これは「悪霊」の働きかけを察知しようとするものである。悪霊がそこで…

「目からウロコ ゆるしの秘跡」来住英俊著 を買った

【ザックリとしたまとめ】今回は、「ゆるしの秘跡」にイキヅマリを感じていたワタクシの私的備忘録的な記事。 〈ナントナク〉で受けていた「ゆるしの秘跡」であったが、本書を読めば、その有効的な受け方がわかってくる。 ポイントは「後悔」と「痛悔」は違…