ハキダメ記

読書録(主にキリスト教関連)

2020-01-01から1年間の記事一覧

「キリスト教は役に立つか」来住英俊著 を買った

【ザックリとしたまとめ】本書の売り文句に『キリスト教の〈教養〉は、「孤独」に効く!』とある。なぜなら、キリスト教を学ぶことによって、神との〈語らい〉が始まるから。 本書は、ドストエフスキーからラノベまで、幅広いエピソードでもって〈キリスト教…

「ナザレのイエス プロローグ:降誕」名誉教皇ベネディクト16世ヨゼフ・ラツィンガー著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】天使ガブリエルは、マリアに「喜びなさい(ヒャイレ)」と挨拶した。この「喜び(ヒャイレ)」は旧約聖書から来た言葉だという。このように、旧約聖書と新約聖書の二冊は、合わせて読むとより深く理解することができる。 イエスは、…

「ナザレのイエスⅡ:十字架と復活」名誉教皇ベネディクト16世ヨゼフ・ラツィンガー著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】イエスは民衆が望んだようなメシア、つまり「外からの強制力」によって世の苦しみを取り除くメシアではなかったが、十字架の苦しみによってわたしたちに「内側に宿る愛」を残した。彼はそういうメシアであった。 西暦70年にエルサレ…

「ナザレのイエス」ベネディクト16世ヨゼフ・ラツィンガー著 はこんな本だった(2/2)

【ざっくりとしたまとめ】「第4章 山上の説教」は極めて興味深い章であった。本章にはユダヤ教のラビ《ヤーコブ・ノイスナー》氏が出てくる。彼の発想が非常に興味深かった。ユダヤの人々によって「モーセのトーラー」は神から与えられた「法」であった。そ…

「ナザレのイエス」ベネディクト16世著 はこんな本だった(1/2)

【ざっくりとしたまとめ】「ナザレのイエス」シリーズは、前教皇ベネディクト16世が書き著した「全3巻」からなる書である。 本記事では「メシア」と「回心」についてまとめてみた。 「メシア」:私たちが求めるメシアとイエスが示したメシアは異なっている。…

「甘え・病い・信仰」土居健郎著 はこんな本だった

【ザックリとしたマトメ】「甘え」は他者を必要とする。その他者との間に「信頼関係」がある時、人は安んじて「甘え」ることができる。それは同時に「愛」を知ることである。人は「甘え」を通して他者から愛を学ぶ。これは人と神との間にも言える。人は神に…

「ヴィクトリア女王」君塚直隆著 を買った

【ザックリとしたまとめ】ヴィクトリア女王の生涯を通して、19世紀、絶頂期のイギリスの姿を描き出した作品。ヴィクトリア女王―大英帝国の“戦う女王” (中公新書)作者:君塚 直隆発売日: 2007/10/01メディア: 新書「ヴィクトリア女王」君塚直隆著 中公新書 200…

「それでもやっぱり日本人になりたい」W・A・グロータース著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】本書には、カトリック司祭のテイヤール・ド・シャルダンが登場する。著者のグロータース氏はカトリックの神父で同時に「方言」を研究する言語学者である。彼は、日本軍が占領する中国に赴任するが、そこでイエズス会士で古生物学者…

「マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家」野口雅弘著 を買った

【ザックリとしたマトメ♪】オモシロエピソード満載でありながらも、ウェーバーの思想が簡潔にまとめられている本。マックス・ウェーバー初心者に最初の一冊として強力プッシュしたい新書。マックス・ウェーバー-近代と格闘した思想家 (中公新書)作者:野口 雅…

「マックス・ウェーバーを読む」仲正昌樹著 を買った

【ザックリとしたマトメ】 ドイツの社会学者および経済学者であるマックス・ウェーバーの主要著作(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『職業としての政治』『官僚制』『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』『社会学の基礎概念』『…

「韓国 現地からの報告」伊東順子著 を買った

【ザックリとしたまとめ】 韓国および韓国人の「素の姿」が見えてくるような新書。本書によれば、著者が現地で見た韓国と、日本のメディア(特にテレビ)で伝えられる韓国の間には「ズレ」があるという。韓国 現地からの報告 (ちくま新書)作者:伊東 順子発売…

「今こそアーレントを読み直す」仲正昌樹著 を買った

ハンナ・アーレントは「ひねくれ」た政治哲学者だという。たとえば、彼女は左派知識人受けの悪い「アメリカ」を高く評価しているのである。一方で彼女は左派知識人受けの良い「フランス革命」や「ロシア革命」を批判的に見ているのである。今こそアーレント…

「回勅 真理に根ざした愛」ベネディクト十六世著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】 すべての人に及ぶ「全人的発展」こそが、教会のめざす「真の発展」であり、この「真の発展」を果たすためには「真理に根ざした愛」という「神」に向かう姿勢が必要となる。真理に根ざした愛作者:教皇ベネディクト十六世発売日: 201…

「ポプロールム・プログレシオ −諸民族の進歩推進について−」パウロ六世著 はこんな本だった

【ザックリとしたまとめ】 真の「進歩」とは、「全人的な発展」のことである。 そして、真の「進歩」は、「物質的な発展」だけでは不十分であり、「人間的な発展」をも伴っていなければならない。 そして、この真の「進歩」を果たすには、過度な「自由競争」…

「エリザベス女王」君塚直隆著 を買った

次から次へとページをめくりたくなる「飲みやすさ」と高い専門性という「コク」とをあわせもった、イギリス式のおいしい「紅茶」のような新書であった。エリザベス女王-史上最長・最強のイギリス君主 (中公新書)作者:君塚 直隆発売日: 2020/02/18メディア: …

「信仰と未来」ヨゼフ・ラツィンガー著 はこんな本だった

キリスト教の「神学的思考」と現代科学の「実証的知識」は、噛み合わず分裂してしまっているが、それはそれぞれの思考の対象が異なっているからである。なので「実証的思考」がいかに素晴らしいものであっても「神学的思考」の代替とはならない。 また、「神…

「育てられない母親たち」石井光太著 を買った

署名には「母親たち」とあるが、母親たちだけでなく父親たちもまた育てられないのである。そして、ネグレクトや虐待をする「育てられない親たち」もまた、その幼少期にネグレクトや虐待を受けて育っており、彼らは心に多くの傷を負っているのである。「衝撃…

「おそれとおののき」キルケゴール著 はこんな本だった

キルケゴールの「おそれとおののき」を図説付きで解説。 アブラハムは、神から祝福を受け、子孫の繁栄と豊穣な土地を約束される。けれども神はアブラハムに息子イサクをささげることを要求する。「信仰の騎士」アブラハムは、その要求に従って息子イサクを殺…

『韓国を支配する「空気」の研究』牧野愛博(よしひろ)著 を買った

韓国を支配する「空気」とは、「公の場で日本をほめたたえてはならない」というものであり、そしてそれは戦争経験者への「気遣いと遠慮」から生じた「空気」だという。 また、韓国人の気質は白黒はっきりつける「本音を好む」ものであり、それは「本音と建て…

「反復」キルケゴール著 はこんな本だった

ものの捉え方には「追憶」と「反復」の二種がある。 「追憶」は、人の世を「観察者」として生きることである。 「反復」は、人が「当事者」として生まれ変わり、人の世を生きることである。 そして「反復」は、『ヨブ記』のヨブが見舞われたように、苦しみと…

「日本の貧困女子」中村淳彦著 を買った

本書は、「貧困女性」、特に北関東と沖縄に住む「貧困女性」に焦点を当てた本である。 そして、本書を読み進めていくと、彼女たちに不足しているのは「金銭」だけでなく「愛情」であることが分かってくるのである。日本の貧困女子 (SB新書)作者:中村淳彦出版…

「ダライ・ラマ 宗教を越えて」ダライ・ラマ14世著 はこんな本だった

本書において、ダライ・ラマは「世俗的な倫理(宗教に立脚しない倫理)」を提唱している。 この新しい倫理は、「価値観」のような外から押しつけるような性質のものではない。 ダライ・ラマが提唱する「世俗的な倫理」とは、人間が生来的にもっている「内な…