「よりよき世界を求めて」第七章
「よりよき世界を求めて」(カール・R・ポパー著/小河原誠・蔭山泰之訳 未来社 1995年刊)
Auf der Suche nach einer besseren Welt by Karl R. Popper(1989年刊)
要約
第七章 書物と思想、ヨーロッパ最初の本
当該部分は、著作権法に触れる可能性があるため、削除しました。(2017.11.11)
感想
芸術作品とは、芸術家個人の人格、つまり彼の「世界2」を、そのまま表出することではないのだと、ポパーは言う。
作家は、彼の主観的な思想を書き進める過程において、書き下ろされたものを批判的に吟味し、改善を施していく。批判と改善を施すことで「客観性」を帯びることになり、そうしたものが作品であるということらしい。
つまり、「世界2」を「一方通行」的に言葉で表現するのが作品なのではなくて、「世界2」と言葉で表現された「世界3」との「相互作用」によって作品が誕生するということなのか・・・・・・。
以前要約した「ニューエイジについてのキリスト教的考察」の中に、「(ニューエイジには)自分自身の内面、すなわち自分自身の中に意味や力を求める傾向(がある)(p13)」という記述がある(要約はこちら)。
だから、「世界2」そのものに意味を見出すのは、ニューエイジっぽいことなのかもしれない。ニューエイジには、自分の精神を神聖化してしまう傾向があるのだから。
そして、ポパーは、「世界2」そのものに意味があるのではなく、「世界2」とその他の世界との「相互作用」の中に意味があると言っているのだと思う。
作家もまた、自身の作品を通して(他者の作品はもちろんだが)、ステップアップしていく学習者なのだと、ポパーは言う。
つまり自己正当化ばかりしていれば良い作品は出来ないということね。僕なんて、自分に自信は持てないくせに、自己正当化だけはしっかりと行っているからね。
自己正当化のような「正道を歩いているアリバイ作り」にばかり励んでいないで、未熟な自分を受け入れてやれたら、謙虚な学習者になって、真理に向かって歩んでいけるんだろう。・・・・・・ソウナロウ、ガンバロウ!
- 作者: 教皇庁文化評議会/教皇庁諸宗教対話評議会,カトリック中央協議会司教協議会秘書室研究企画
- 出版社/メーカー: カトリック中央協議会
- 発売日: 2007/04/21
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